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2005/09/25

日本初 字の「重ね字」個展 無事に終了。

  書道史を超えたオリジナル作品へ、字家 天童 大人の挑戦

 20世紀から21世紀にかけて試み続けてきた字に字を重ねると言う新しい表現は、今回、9月5日から(日曜日・祝日 休廊)、東京・六本木のストライプハウスギャラリーで開催された 字家 天童大人個展「Letter Scape =OVERLAY Series-」に、新作15点、版画3点を展示し、昨日24日、無事に、終わりました。

 会期中に衆議院選挙が在り、人心が大きく揺れ動き、また台風が来るなか、ご多忙中に関らず、福岡・仙台・金沢・名古屋等、わざわざ遠方よりお出かけ下され、作品を見てくださった方々には、特に厚く御礼申し上げます。

 またこうした新しい試みに会場を提供して下さったオーナーの塚原琢哉・操夫妻の御厚情に深く感謝します。

 日本書道界の「禁じ手」を犯したと言われたのは、美術評論家・米倉守氏で、銀座の路上でした。
前回のストライプハウス美術館の展覧会の時でしたから、1999年で、今から6年前の事に為ります。
ポスターを見て直ちに「禁じ手」と言われたので、今でもはっきり覚えています。
 確かに日本の書道史を振り返って見ても見当たりません。

 「重ね字」は、字家である私のオリジナルです。

もし壽岳文章先生がご存命でしたら、すぐさまお見せするのですが、それも今では叶わず誠に残念な事です。

 しかし、壽岳先生は、かって、貴方は思った事を、好きなようにおやりになれば宜しい、と言われました。
 壽岳先生のお言葉に甘えて、今、思った事を遣っている訳です。

 私には、書の師匠など居りませんが、様々な先達が居たおかげで、オリジナル表現に行き着けたわけですから感謝です。

 処で今、世間で知られているお方で、一度お話を伺いたい方と言えば、白川静先生、お独りぐらいでしょうか。


 僧空海の顰に倣えば、字が書けるだけでは、駄目で、聲ノ質が良く無ければ為りません。
聲は整形が出来ませんから、本人其の侭です。
日本の書道人口が何百万人かは知りませんが、この設問、聲ノ質が良くなければ?の問題はハードルが高いですよ。

 ともあれ聲と字との関連は空海と言う先人のお陰です。彼のような先人、目標に為る先人が約1200年前に、近視眼的な人々が数多く住むこの島国に、存在して居た事に改めて感謝です。
 出来る事なら空海の聲を聞いてみたかった。

 今の私には特に有り難い事です。既に聲と字とに深い洞察が為されている空海が存在してくれてた事が私には幸運でした。
巨大な目標が有りますからね、私には。
 これからも精進を重ね、日本で唯一の字家として、新たな表現の地平をこの水の惑星に向けて切り拓いて参ります。
 今回の作品群に対して「美しい」、「綺麗い」との言葉は、有り難く受取っておきます。有難う御座いました。

今後とも、宜しく、ご支援を御願い致します。

次回の展覧は二度も会場に足をお運び下さった、ギャラリー アート ポイントのデイレクター 岡田 春宣氏の依頼で、2006年 6月22日(木)-7月1日(土)の会期で、古備前 小向一實氏とのニ人展の予定です。
お楽しみに。

          字家・詩人・朗唱家 天童 大人

11月にはニュージーランド・第3回 ウエリントン国際詩祭に、俳人・夏石番矢氏と国際交流基金の助成を受けて参加します。
 今度は、聲の世界での表現です。
 乞うご期待を!

  

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2005/09/13

只今 字の個展 開催中 、胡蝶蘭の贈り物。

 今月5日から、六本木のストライプハウスギャラリーで始まった字の個展も、今日、13日で中日、昼食を終えて画廊に行くと、(かってここはストライプハウス美術館で、だからだから相変わらず私は館長と呼んでしまうのだ)館長の塚原操女史が、今、電話が有って、お花が届きますよ、と言う。
 心当たりが全く無いので、ただ、はい、返事をしただけ。
 それから暫らく経って、扉が開き、白い紙で包装された大きな塊が画廊の中に、入ってきた。
 名札を見て驚いた。
          御 祝
       株式会社力の源カンパニー 
         代表取締役  
         川 原 成 美 

  と記されていた。
 博多 とんこつラーメン 一風堂の河原成美氏からだ。
 電話では時折、話しているとは言え、余りにも、突然の贈り物なので驚くと同時に嬉しかった。
 館長の指図で配達の人が包みを取り除くと見事な白い胡蝶蘭が5本、高貴な佇まいを見せてくれている。

 河原氏との出会いを塚原館長に簡単に話した。

 約10年前、福岡の寿司屋 寿勝? で、オフィス・ツーワンの明石智津子代表と飲んでいた時の事だ。(これは福岡での朗唱公演の打ち合わせを兼ねていた筈だ)。
常連客たちと飲んでいた時、戸が開き、入ってきた男とどの様な経緯が在ったか、忘れたが、居合わせた客の迷惑も考えず、お互いに聲を張り上げていた。
 まさにそれは、紛れも無く、シャウトだった。
 後から知ったが、この相手がとんこつラーメン・一風堂の主人・川原成美氏だったのだ。(その後の事は、今は省略。別な機会に改めて)。

 ひとしきり館長との話が済むと、河原氏に画廊から電話をした。ベルが鳴っているが、なかなかでない。諦めようとしていると懐かしい聲が聞こえてきた。胡蝶蘭のお礼を言うと会場に行きたかったけど時間が無くて行けなかった、と言う。どうも電波の具合ががおかしいので、今、何処ですか?と訊ねると、ニューヨークだと言う。16日に戻るが遅いので、土曜日の朝に画廊で、都合が付いたら逢う事にする。 
 相変わらず、天童さん、元気ですね!と河原氏が言うが、彼だって、生活の基盤を上海に移し、福岡と上海とを行き来して、今はニューヨーク、元気な証拠じゃないか、私は思うのだが。
 もしかしたら電話で起してしまったかもしれない。申し訳在りません。河原さん。

 17日の画廊での再会が今から楽しみだ。
 でも無理をしないで下さいよ。

  綺麗な贈り物を有難う。河原さん。

今日(14日)の毎日新聞の夕刊5面の展覧会案内に、写真入りで、 ◇天童大人個展◇ が ”1943年生まれの朗唱家、字家。近年、書道の通念を破る墨の「重ね字」と取り組み、注目を集めている。と紹介された事を、帰宅して知った。有り難い事だ。感謝。

今日(17日)朝、11時前には画廊着いた。もし、川原氏が来られたら失礼に当たるので。
 川原氏が来られなかったので、昼食に。午後に来る予定の外人二人も都合付かず、来週に。
 夕刻、旧知の銀座の某画廊の主人自ら2回目の来廊。今回は、来年の6月に、10日間、企画で古備前の作家との2人展をとの有り難いお話。
 1989年から20回の個展は全て企画展。本展が終わってから、ゆっくり話し合いを。 
 残り4日間。何が起こりますか、とても楽しみ。

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2005/09/05

今日(5日)より 字家 天童大人個展 始まる。

         字家 天童 大人 個展

    「Letter Scape-OVERLAY Series-」

       2005.09.05(mon)~24(sat)

  AM 11:00~PM 6:30(日曜・祭日 休廊)

       ストライプハウスギャラリー

    東京都港区六本木5-10-33-3F
℡03-3405-8108 Fax 03-3403-6354

 ここストライプハウスでは、6年ぶり3回目の個展で、ギャラリーに為ってからは初めての個展です。
1989年 ここストライプハウス美術館で字家としての個展が、初めて字家として美術界へのデビューを果たした意味深い、壁面約100メートルの重要な会場です。(現在は書店ですが。)
 前回の1999年のここでの2回目の展覧会の会場構成は、1回目も手伝って下さると言ってくださった(先に約束の人物が居た為に、やも得ず断念した) いけ花作家の中川幸夫さんの手に為る展示でした。この中川さんの展示で、実に多くの事を学ばせて頂きました。
 今回は、本邦初の全作品「OVERLAY(重ね字)」の作品で、3点の版画作品と15点の新作が展示され、皆様のおいでをお待ちしてます。

 重ね字は、日本書道界では、タブーされて来たようですが、1999年の個展のポスターに使用した作品「SETU・GETSU・KA Ⅰ」は、国内外で好評で、この作品のヒントを与えてくれたミラノ在住の画家 KEIZOは不慮の事故の為に、既に、この世には居ません。展覧会の4ヵ月前、ミラノの街を二人で歩きながら、色々話したことが大きなヒントとなり、作品が出来上がりました。このポスターも今展では展示してあります。
    
 1984年 慈雲の好きな英文学者 壽岳文章先生から、「貴方の字は、良い字だ」と、有り難くも、驚愕する事を直に言われました。 既に1982年、突然、画家の村井正誠さん(文化学院の大先輩で、私は文科で、美術科の村井さんと話したことは一度も無く)から、何か、面白い事をやろう、と声がかかり、字のグループ展を始めていましたから、壽岳先生に褒められて、「売れています」と咄嗟に言って、しまった!と思う間もなく、「そうでしょう、良い字です」と言われました。一瞬、居間に差し込む陽の輝きが、強く輝いたのを覚えて居ます。 尊敬する壽岳先生に字を褒められたのですから、嬉しくて、嬉しくて仕方が在りませんでした。そして個展の文章先生が書いてくれた文章です。驚きました。

「その不思議な人物の随一は、ここに紹介する天童大人であろう。」


どうして壽岳先生と接点が持ちえたかと言うと、詳しくお話をするよりも、この私のブログのバックナンバーを捜してみてください。そこにヒントが隠されている筈です。

 さて昨日9月5日、展覧会の初日、東京は生憎の雨模様でした。
 オープニングパーティーの公には記載されていませんでしたから、三々五々御出でいただいた方々にワインかビールをお出ししてのささやかなパーティーでした。
 この11月、ニュージランドで開催される第3回国際ウエリントン国際詩祭に、共に招待されている俳人の夏石番矢氏が来廊され、初対面とは思えず、話が弾みました。
6日、画廊に居ると夏石氏から電話が有り、ウエリントンからメールが有り、プログラムが送って来て、4回ほど朗読の機会が有りますよ、と伝えてくれた。帰って見てみると、逢いたい詩人の名前が無い。またもやすれ違いだ。
 それはフランスの詩人、ベルナール・ノエル。日本ではアントナン・アルトー賞を受賞した『聖餐城』ともう1冊訳されている。(これはまた別の話かも。)
 雨にたたられて、出足が悪いのが残念。

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